● 妊娠について
パートナーから「妊娠した」と聞かされたとする。よく海外ドラマや映画では子どもができたことをものすごく喜ぶ。心の底から嬉しそうに。ところが日本において妊娠したと聞いた男はあまり喜ばない印象がある。あくまで一般論である。
もちろん子どもを望んでいる夫婦にとっては別で、すごく喜ばしいことだ。周囲の親しい間柄の人たちも一緒になって喜ぶ。
多くの男は子どもが生まれるとして「今後の仕事や生活はどうするのか」「経済的に大丈夫か」といった現実的な諸問題を心配し、素直に喜べないのだ。また「妊娠した」と言った女性の年齢が若すぎる場合には「中絶するかしないか」「産むか産まないか」といった問題が発生する。
相手が16歳の女性だったとしよう。周囲の家族や友人と共に喜ぶことができるだろうか?難しいと思わないか?
その周囲の人の中には必ず否定的な意見が含まれている。「若すぎる」という意見だ。そもそも若すぎるといったことは女性が妊娠可能になっていることから受け入れるべきだと思うのだが、言うまでもなく子どもを産んだ後の女性のキャリアに大きな影響を及ぼす。そのため、そのくらいの年齢の女性が妊娠した場合には当たり前のように「中絶すべき」といった意見がある。
男の年齢が30歳を超えていたとしよう。超えていなくてもだけれども……間違いなく「ロリコン」のレッテルが貼られることになる。
また、不同意性交等罪という重罪に問われる可能性がある。女性側が「同意していない」趣旨のことを告訴した場合、検察官はこれを起訴することができる。カップルだけでなく、これは夫婦間であっても成立する。不同意についての解釈については8つの状況としてあるが、要は「拒絶する意思表示が不可能な場合」に有無が判断される。これはかつての強制性交等罪と準強制性交等罪を一本化したものである。また、性交同意年齢を13歳から16歳へと引き上げた。つまり16歳未満の者との性交は同意の有無にかかわらず不同意性交等罪として処罰される。中学生同士が性交をして発覚した場合にも処罰の対象となる。
実際の日本の調査データによると、およそ10%が16歳未満で性行為の経験がある。クラスのうち4人が不同意性交等罪の対象となっており、罪を犯しているということになる。その意識が果たして当人たちにあるだろうか?
ありえないことだけれども、もし女性が子どもを産んでもその後のキャリア(男女ともに)に何の影響も及ばない世の中だとしたら。私たちは妊娠を素直に喜べると思う。先行きの不安や法的制限、何より周囲の目線がなければ、根本的な少子化問題の解決につながるのではないだろうか?
妊娠というものを本来喜ばしいことだと捉えたいからこそ、このような考えに至るのだ。